あれだけの大公演だったので、今だにまだ余韻が残ってます。Facebookの濱田先生のファンサイトに、ゲネプロの際の写真が掲載されておりましたので、そこからウリッセ関係を中心に思い返してみたいと思います。

今回の会場はオペラハウスではなく、リリアホールという素晴らしい音響ですが、いわゆる普通のホール。ですので、オーケストラは舞台におり、その周りがアクティングスペースでした。

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演出として重要な部分は、百合若大臣という似たストーリーが日本にもある事から、「どこの国のどの時代かはわからないけど日本風」という世界観を演出の彌勒さんが作りました
舞台には大きな布が2枚。
これがとても存在感を出しており、能舞台の揚げ幕のようでもあり、ペネロペが織り上げた布地でもあり、船の帆にも見立てられるようになっています。

初期バロックのオペラには必ずギリシャ神話の神様たちが登場します。このウリッセでも同様に、「人間の儚さ」という観念に対し、「時」「運命」「愛」が神々に翻弄される人間を歌います。

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そして舞台は本筋へ。
ウリッセの妻ペネロペが、トロイア戦争に出征したまま20年も帰らぬ夫を悲嘆に暮れつつ待っています。

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その頃、ウリッセはトロイア戦争を終結させた英雄となりながらも、帰路にネプチューンの息子である一つ目巨人ポリュペーモスの目を潰した事から、ネプチューンの怒りを買い、故郷イタケーに帰れずにいると、そこにフェアーチェ人が手助けし、眠っているウリッセをイタケーに送り届けるが、可哀想にも怒ったネプチューンに石にされてしまう。

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眠りから目覚めたウリッセは1人取り残され、何処の海岸か分からず、嘆き悲しんでいる。

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そこに現れたのが、牧人に扮したミネルヴァ事、アテネイ。素性を明かし、ウリッセが不在の宮廷で妻ペネロペに襲いかかる悲劇と貞節を見せようと、ウリッセを老人に変装させる。

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ミネルヴァの計らいで宮廷の羊飼い(原作では豚飼いだが)のエウメーテと出会い、協力を得る。

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やはりミネルヴァの計らいで、父の後を追い、航海を重ねながら父の偉大さを知らされた息子テレーマコと感動の再開。ここで老人の姿であったウリッセは元の姿に戻り、再開を喜び合い、宮廷に巣食い、妻ペネロペに求婚を迫る輩を成敗すると告げる。

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ウリッセが不在の宮廷では、ペネロペに求婚を迫り、その財産を貪ろうとする輩がはびこっている。

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老人に変装したウリッセはそれらを少しづつ成敗。まずは大食漢で食い荒らしていたイーロ。足を踏みつけ、決闘シーンはなんとお相撲で!?

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その際、足を洗ってくれた乳母に、昔の傷を見つけられ、口止めをする。

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そして再びペネロペに迫る3人組。ペネロペは、ついウリッセの弓を引く事ができたら結婚するといってしまい、弓引き合戦に。しかし誰も弓に弦をかける事ができずにいるところに、老人ウリッセが自分にも引かせてくれないかと頼み、いとも簡単に弓に弦をかけ、求婚者達を射殺してしまう。

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そして真の姿で妻に向かい合うも、妻は本物と信じない。エウメーテも息子テレーマコ、乳母が説得するも、どうせ神が化けて自分を翻弄させているのだと言い張る。一同諦めた頃、ウリッセは、夫以外が入ったことのない寝所にあるベッドにペネロペが織り上げたディアーナの刺繍の事を話すと、ペネロペはようやく本物と信じ、感動のデュエットで2人睦まじく結ばれ、寝所を共にする。

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ざっくりと写真と共に振り返りました。
お客様の感想には、「これほどの感動をいただいた演奏会はしばらく無かった。高音の張りのあるお声とピアニッシモも柔らかい歌唱に聴き惚れました。終幕近くウリッセが夫を信じて待ち続けたペネーロペに優しく語りかける場面では、悲しくないのに涙が溢れて来て仕方がありませんでした。」という嬉しい言葉を頂きました。

改めて素晴らしい公演に関われた事を感謝致します。指揮の濱田先生、演出の彌勒さん、アントネッロの皆様、共演者の皆様、本当にありがとうございます!!

※写真はゲネプロの際のものです。他にも素敵な写真がございますので、Facebookアカウントをお持ちの方は、濱田芳通ファンサイトを訪ねてみて下さい。

Photo : Aki Fujii